ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
猫は思っていたより昔から私たちと一緒だった!?
2013年12月20日 (金) | 編集 |

馬好きな人には猫好きも多い気がします

ツイッターのフォロワーさんにはニャンコのアイコンがたくさん!

私も猫は大好きです

あのモフモフ、たまらないですね

先月こんな報告がありました

Earliest evidence for commensal processes of cat domestication

「ネコの家畜化共生過程における最古の証拠」

引用文献はこちら→ Proceeding of the National Academy of Sciences of the USA

9500年前の地中海キプロスで人のそばに埋葬されていた猫の骨が見つかっています

しかし家畜化された証拠があるのはもっと後

4000年前のエジプトと考えられていました

しかし今回の報告では少なくとも5300年以上前に中国ですでに我々と一緒に生活していた形跡があったようです

人の食べ残しを食べていたそう…

昔のねこまんまかしら

太古の昔から、人は猫に癒されていたと思うと嬉しくなります

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これからもずっと一緒だね


アメリカ馬臨床獣医師学会・特別講演
2013年12月18日 (水) | 編集 |
12月7日~11日まで開催されたアメリカ馬臨床獣医師協会(AAEP)学会

場所はテネシー州ナシュビル

会場はホテルを含む巨大施設

ゲイロード・オプリーランド・リゾート&コンベンションセンター

屋内のガーデンも

すっかりクリスマスでした

学会は今回が59回

国内外の馬獣医師や関係者が集まります

メイン会場は最大で7000人ほどが収容できるそう





今年は獣医師3500人、そして学生やオーナー、そのほか業者や関係者を含めると6500人ほどが会場を訪れたそうです

初日の特別講演ではこの方が演台に立ちました


ナチュラルホースマンシップで著名な

Buck Brannaman(バック・ブラナマン)氏


映画「モンタナの風に抱かれて」のモデルになった方です

まずはじめにBuck氏が言いました

「この中で馬の治療中にケガをした方はいますか?」

聴衆のほとんど(私も含め)の手が上がりました

「馬の獣医師は危険な仕事です。頭部や肢部に触れることが危険な状況にあるからです」

「オーナーの方たちは獣医師や装蹄師がいつも危険な状況に置かれて仕事をしていることにお気づきでしょうか」

「獣医師や装蹄師を危険な状況におかないよう馬をトレーニングするべきなんです」

「ただ普段通りのことができるだけでなく、意図しないような出来事が起きたときにも落ち着いていられるよう、馬を慣らせるのです」



こんなことを言ってくれる人はこれまでに出会ったことはありません

獣医師も、オーナー達も静かに彼の言葉に耳を傾けていました



「馬も人も目指すところは同じ。"Peace(安らぎ)"です」

「何か食べたり飲んだりしている時に他人に邪魔されたくないでしょう?それは馬も同じなのです」

「馬はオーナーの心を写す鏡。彼らは貴方を見ているんですよ」

「彼らが気にするのは人が自分をどう扱うかということだけ。先入観も何もないんです」




Buck氏は幼少期、肉親から虐待を受けたりしたこともあったそう

親から離れて暮らし、引き取り先が牧場だったことで彼は馬と心を通わせるようになります

時折、馬との思い出に涙を浮かべて話していました

話術も巧みで、これも馬が惹きつけられる彼の持ち味なのかなと思いました

最後はスタンディングオベーション

学会は初日からすっかり興奮モードで始まりました

5日間は朝7時~夜6時までびっちり講演

会場もいろいろなので数分間で興味ある演題の部屋へ走って移動

大変興味深い発表もあり、お腹いっぱいになりました



また後日つづきを書きたいと思います





風邪が治らないんだよねーーー




St Nicholas Abbey号
2013年08月08日 (木) | 編集 |

この骨折なら間違いなく、安楽死を勧めるだろう…

愛国のSt Nicholas Abbey(セントニコラスアビー)号が調教中に右前肢の繋にあたる部分、第一・第二指骨を骨折しました

オーナーはCoolmore Stud

英国でお世話になっていた獣医師が以前勤めていた牧場なので、話は聞いていました

ずいぶん悩んでいたようだったので、程度を覚悟してはいましたが

酷いものでした

Barbaro号を思い出させます

きっと執刀した米国のDr.リチャードソンもそうだったと思います

患肢には骨盤から骨移植も施されました

骨折修復には2枚のLCP(ロッキング・コンプレッション・プレート)、20本のスクリューを使用

第三中手骨にはギプス越しにピンを挿入して骨折部に負担がかからないようにしています

しかしこの手術後、アビーは疝痛を発症し再び手術

患馬への負担はかなりのものです

この数週間を乗り越えられるかが大きなポイントになるでしょう

そして大きな数週間を超えても月単位でケアが必要になります

Barbaro号は術後2か月で最初の蹄葉炎を発症し

いったん回復の兆しをみせたものの半年後に安楽死処置されました

馬の獣医師ならみんな予測し覚悟していると思いますが、決して口にはしません

Fingers Crossed

ただただ祈るばかりです




そしてお気づきの方もいると思いますが

このような貴重な経過報告を世界中に公開しているのは非常に稀なことです

獣医師として敬意を表したい

この症例を無駄にしてはいけないと思います

St Nicholas Abbey "The Road to Recovery"


動画が観られない方はここをクリックしてください






以前は「うちの馬の治療は全て先生に任せるから」

「何かあったら責任は自分がとるから自由に治療してくれ。そしてこれからの馬たちにも役立ててくれ」

そんなことを言ってくれる関係者がいて、獣医師としても薬の選択や治療法の選択を任されることで

多くの経験を積み、応用することができました

でも最近の事情もあり、このような機会が減ってきたように感じます

馬が減り、馬主さんが減り…

負の影響は計り知れないのです





これまで以上に集中してひとつひとつの症例と向き合わなくてはいけない

アビーのケースからも世界中の獣医師や関係者が学ぶでしょう

頑張って欲しい

アビーも

周りの関係者も。。。


栗東トレーニングセンターへ
2013年03月23日 (土) | 編集 |

出張に行ってきました

栗東トレーニングセンター

獣医学に関する最新の情報や、担当馬たちの様子をチェックします

ここはまさに聖地



何度訪れても



胸がときめきます



現在、新築中の競走馬診療所
ここには日本初のMRI(磁気共鳴画像装置)が導入される予定です

診断設備として大きな一歩を踏み出すことになりますね


往診先だった田所厩舎では、田所先生に久しぶりの再会

先生にはもう20年近くお世話になっています

新人の原田敬伍騎手とは一年ぶりでした

3月2日の桜花賞トライアル、チューリップ賞(GⅢ)を制したクロフネサプライズ号を見せていただきました

甘えながらもカメラ目線なクロフネサプライズ号と

まさにサプライズする田所先生

そして担当の田所さん(先生の息子さん)とみんなで!

カメラマンは原田騎手

田所さんは昨年の4月に厩舎に就職し、その当日競馬に赴き、初勝利を挙げたそうです

この写真を撮ってもらった翌々日

原田敬伍騎手が初勝利を挙げました

当日は彼の18歳の誕生日

厩舎に何か見えない、いい流れがきてる…そんな気がしました

もったいないほどの素晴らしいオーラの中を泳ぐような気分

先生、原田騎手、関係者のみなさん、おめでとうございます!






そして別の往診先、大久保龍厩舎には同じチューリップ賞2着のウインプリメーラ号もいました!

人をじーっと見つめる優しい目

か、かわいい…

思わずそう漏らすと、レース時に担当していた助手さんが

「性格もかわいいんだよ。何から何までかわいいんだ

そう言いながら彼女を撫でていました

その助手さん、最近になって親戚の方が日高で馬の獣医師をしていたと知ったそう!

実は私も、父親が若いころ草競馬の騎手をしたことがあると最近になって聞いたばかり!

二人で「血っておそろしいですねー」なんて話していました

ご両親が音楽をやっていた影響なのか、妹が歌手になったんだよねーと笑うその方



なんとその妹さんはこの方でした

lecca



私はあまり邦楽を聴かないのですが、彼女は別

力強く美しい声にどれだけ励まされたか

もう驚くやら嬉しいやら…

何度もお会いしていたのに、そんな話題をしたことなくて

今回はleccaちゃんのレアグッズもお土産にいただきました

日高に帰って栗東での日々を懐かしく思い出しながら、往診車で彼女の歌を聴いています




出張中お世話になった獣医師の奥さまが毎日お弁当を作ってくださいました

泣きそうになりました

お弁当のありがたさ、子供のころはわからなかった…




今回も出会いと学びに感謝の出張でした

みなさん、ありがとうございました




たくさんの人たちと馬が関わるこの世界

競馬はそんな世界の一部分にしかすぎません

少しでも多くのストーリーを伝えることができたらいいなと思っています

桜花賞はもうすぐ…楽しみですね

どうかみんな無事に




今年も東京大学で
2012年12月05日 (水) | 編集 |

今年も開催されました

第25回日本ウマ科学会学術集会、および第54回競走馬に関する調査研究発表会

今回招待された講師は

昨年と同じ英国から

ニューマーケット、アニマルヘルストラストのDr.Sue Dyson

学生時代、彼女の元に二週間ほどお世話になりました

当時からバリバリな先生でとっても素敵な方

講演を聴いた方々は驚いたと思います

あそこまで綿密に準備された発表は聴いたことがない

誇らしい

ちなみに自国では、もっとドスのきいた低い声で早口で話されます(笑)

「私は三十年以上この世界にいるけど、毎日新しいことを見つけようと努力してる。そうすれば見つかるものなのよ」

そうおっしゃっていたのが印象的でした




会いたい方にも会えました

本当によかった


…hig先生いらっしゃらなかったな〜






いま東京でブログ更新しています

今夜…真夜中の便で

今年最後のイベントへ向かいます

直前になってアクシデント続きですが

精一杯楽しんできます