ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
Return Of The King 王の帰還
2014年07月16日 (水) | 編集 |

カリフォルニアMira Lomaのセリ

檻に入れられたその去勢馬は頭をうなだれ、やせ細り、後肢は大きく腫れていました

このままだともっと酷い状態になる

馬の愛護団体を運営しているミーガンさんは300ドルで彼を買い取りました

「この金額の価値はなかったと思う。でもその状況から抜け出させるにはこうするしかなかった」

馬の状態からわかることは、これまで酷い扱いを受けてきたこと

検査の結果、関節炎と古い骨折が判明しました

それは米国で禁止に向かっている残虐なロデオ(ショッキングな映像が含まれます 。電気刺激を加えたりして動けなくなるまで一頭を追い詰める競技です)"Horse Tripping"で使われた馬によくみられる状態でした

ミーガンは馬の上唇に彫られている個体識別のタトゥーを照会

その馬は米国でサンタアニタ競馬場でも勝利したことのある馬でした

そしてこの馬のオーナーは

2008年のクリスマスイブ、ロス郊外であった銃乱射事件の被害者だったことがわかったのです

この事件でオーナーの家族や血縁の9人が殺されました

翌年の1月に彼はまるで亡くなったオーナー家族にささげるような勝利をあげます

事件により経済的にも厳しくなった遺族はこの馬を手放します

そして数年後、馬のセリに出されたのです

Return Of The King
Photo:LA Times

ミーガンさんによると「人のことが大好きで馬というより犬のよう」

厩舎に腰かけると彼女の膝に頭を置くんですって

2002年に生まれた彼は、当時から「三冠狙える馬だ」と言われていたそう

元愛馬が愛護団体にいると聞いた元オーナーはミーガンさんから肢の状態を聞き「もう彼に乗ることはできない」と知り悲しくなったと言っています

どこかで走っていないかとインターネットで調べていたこともあったそう…でも情報は得られなかったと

そしてこの馬が生きていることを知った生産者のキーオさんが名乗りを上げます

「彼をこの世に誕生させたのは自分なんだ。責任を持って引き受けたい」

現在ミーガンさん達は彼を生まれ故郷に戻すべく、募金活動を行っています

元のオーナーはこう言っています

「一度彼に会いたい。あいつは家族のお気に入りだったから。家族の一員だったから」

馬の名前は

Return Of The King(王の帰還)
Winner.jpg
Photo:LA Times

数奇で悲惨で辛かっただろう時を乗り越えた王が

再び大好きな人間と過ごせる場所に還ってきます

幸せな日々がずっとずっと続きますように
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Photo:LA Times


"Horse going to greener pastures after owner's heartbreaking tragedy" 引用記事(Los Angeles Times)


コメント
この記事へのコメント
akikoさま
コメントありがとうございますv-410
私も胸が詰まる思いで読みました。馬の世界には影の部分もありますが、このようなお話に励まされますね。
2014/07/19(土) 01:44:33 | URL | ハリケーンドクター #NL852uQM[ 編集]
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2014/07/18(金) 23:55:02 | | #[ 編集]
いつも読ませていただいていて、初コメです。
ひどい扱いを受けてきたでしょうに「人間大好き」って…もう号泣しちゃいますよ。
残りの馬生が幸せでありますように。
2014/07/17(木) 13:11:16 | URL | akiko #-[ 編集]
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