ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
Barbaroの戦いが終わった
2007年01月30日 (火) | 編集 |
勇者の戦いが終わりました


ケンタッキーダービーを無敗で制したバーバロ
2006ケンタッキーダービー
着差は6馬身半ありました(過去60年で一番の着差)

ケンタッキーダービーの映像はこちらをクリック(馬番8番がバーバロです)


昨年5月20日のプリークネスステークス(GⅠ)

右後肢を骨折し入院生活を送っていました

バーバロの話はいつかまとめてみなさんに報告するつもりでした

世界の獣医療はこんなに進んでいるんですよ!って・・・

ちょっと長くなりますがお許しください


骨折は重症でした
事故後の写真
骨折片(こっせつへん)は20ほどあったといいます


本来であれば間違いなくその場で安楽死処置がとられた状況で

オーナーは手術して助ける選択をしました

それは現代の獣医療の可能性に挑戦するものでもありました


手術はペンシルバニア大学のニューボルトンセンターで行われました

執刀はDr.リチャードソン

手術は5時間を越えました


術後の写真です
術後の写真
ボルトは27本入っています


Dr.リチャードソンは術後の会見で述べました

「 助かる可能性はコイントス(=五分五分)だ 」

ペンシルバニア大学のHPにはバーバロの状態を定期的に伝えるページがあり

そこで紹介されていた写真をいくつか紹介します


入院馬房です
カードや贈り物がいっぱい
応援するメッセージがいっぱい

印象的だったのは
エドガープラードと
彼に乗っていたエドガープラード騎手との再会

そして
オーナーとジョッキー
バーバロのオーナー

実に世界中が
サインボードにはたくさんのメッセージが
彼の闘病生活を見守っていました


順調だった中

懸念されていた反対側の肢に蹄葉炎を発症しました

何度も全身麻酔で手術し、そのたびに彼は克服してきました

しかし今週月曜、蹄葉炎は前肢にも発症したのです

Dr.リチャードソンは言いました

「 このような肢に体重は重すぎる そして治療の道はとても長い

  これ以上彼を苦しめることはできない 」
 



現地時間の29日午前10時30分

バーバロに

安楽死処置がとられました



奇跡は起こらなかったのです



この事実は獣医界にとっても

残念なことでした

確かに難しい症例

でも

テンポイントから

29年

まだ

我々獣医師は

このような症例を助けることができない・・・




Dr.リチャードソンはじめスタッフ、そしてオーナー

どんなに悲しく悔しい思いをしているでしょう

勇者バーバロ

心より哀悼の意を捧げます






ペンシルバニア大学からのメッセージを紹介します

「 バーバロはケガに勝利し、そして蹄葉炎に対する闘いを終えた

  美しく、素晴らしく勇敢だったバーバロを私たちは忘れないだろう 」
 





バーバロの母 La Ville Rouge は

ダービーの地 ケンタッキー州レキシントンで

今春

彼の全兄弟を出産する予定です




リチャードソン獣医師と
Dr.リチャードソンと



コメント
この記事へのコメント
お市さま
ご来訪ありがとうございます。
コメントの返信が送れて申し訳ありませんでした。
バーバロの経験から学び、世界の獣医療は確実に進歩するでしょう。
そう遠くない将来、必ず克服できると信じています。


2007/02/10(土) 19:10:11 | URL | ハリケーンドクター #-[ 編集]
本当に残念です
はじめまして、ikaruさんからこのブログを教えて頂きました

去年の夏頃に「蹄葉炎、発症」のニュース以後
あまり報道が無かったので、心配していたところにこのニュースはやはりショックでした

蹄葉炎・・・・聞くだけで恐ろしい病気です
幾多の馬達がこの病気で命を落としたことか・・・・・


しかし、バーバロのスタッフの方達は
この教訓を生かしたい!ととても前向きです
近い将来、蹄葉炎が克服されることを願って止みません

そして最後まで生きようとしたバーバロには
私たちも教えられることが沢山あると思います

本当に心よりご冥福をお祈りいたします

2007/02/06(火) 09:43:35 | URL | お市 #-[ 編集]
ふくにゃんさま
そうです。退院し、産まれ故郷に帰る予定でしたね。リチャードソン獣医師を引っ張ってぐいぐい歩く姿にほっとしていた矢先でした。
会見でこうおっしゃっていました。「彼(バーバロ)は決して諦めなかった。あんな馬は見たことがない。」
でも当日の朝はいつもと違っていたんだそうです。体の異変を感じていたのかもしれません。
勇敢で強く、賢かったバーバロ。
あの雄姿をもう一度。そしてこの血を受け継いだ子供に会いたかったですね。
2007/02/01(木) 08:56:40 | URL | ハリケーンドクター #-[ 編集]
ikaruさま
ikaruさまは同じ道を目指していた方です。関係者の想いは伝わってくるのではないでしょうか。
今回の闘病記はいずれ学会で報告があると思います。世界中がバーバロの死から学び、一日一日を生きることがどれほど難しく素晴らしいことだったかを知ることになるでしょう。
2007/02/01(木) 08:31:35 | URL | ハリケーンドクター #-[ 編集]
バーバロを応援していました。
昨年のクリスマス頃にはもうすぐ退院だというニュースを聞いて
バーバロ頑張ったねと嬉しく思っていました。
本当に頑張りましたよね。
だからこそ悔しくて悲しいです。
治療に当たったスタッフの方々も辛かったことでしょう。
みんなに愛されたバーバロ。
安らかに。。。
2007/01/31(水) 19:29:46 | URL | ふくにゃん #GPAZKWNo[ 編集]
懸命の治療
日頃見慣れたタイプの写真ですが、
これほどのボルトの数は初めて見ました。
全ての生き物がなんらかの形で命を終えるとはいえ、
愛する者との別れは心が引き裂かれます。
馬たちがハリケーンドクターさまのような方々に守られて、
幸せな生涯を送られますよう祈ります。
今日より明日が、命を守る仕事にとって
進歩の道でありますように。

2007/01/31(水) 19:15:40 | URL | ikaru(尼御前) #zctdqqxw[ 編集]
龍牙さま
会見で涙していたDr.リチャードソンの姿が目に焼き付いています。世界最高水準の治療をもってしても超えられなかった壁。それでもいつか同じ症例を助けることができるようになると信じています。
2007/01/31(水) 18:20:01 | URL | ハリケーンドクター #-[ 編集]
一般紙にも載ったニュースです。
バーバロが死んだニュースは昨日の朝日新聞の夕刊で知りました。とても残念な気持ちです。こうゆう強い馬がいなくなると、ショックが大きいです。闘病生活は、さぞつらかったと思います。心からご冥福を祈ります。
2007/01/31(水) 13:36:37 | URL | 龍牙 #oKzxZbq2[ 編集]
残念です
マキバコさま
きっと関係者はマキバコさんと同じ気持ちで最後の決断を下したのだと思います。バーバロでの経験を生かし、今後に役立てていかなくてはいけませんね。
2007/01/31(水) 12:06:57 | URL | ハリケーンドクター #-[ 編集]
残念ですね
バーバロの現役時代の事は知りませんが、
とても強く、多くのファンに愛されていた馬だったのですね。
重い体を細い足で支えるのですから、
脚の故障で引退しなければならない馬も多いんですよね。
長い闘病生活、お疲れ様でした。
もう頑張らなくていいんだよ、という言葉を送ります。v-230
2007/01/31(水) 09:47:23 | URL | マキバコ #Nm6a9BY.[ 編集]
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