ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
夢は繋がって
2014年04月19日 (土) | 編集 |

日高に来て間もないころ…20年近く前のことです

ある馬がトレセンで骨折しました

重症…

安楽死を勧める獣医師に調教師は諦めませんでした

そして

獣医師団は当時まだ確立されていなかった、ボルトによる固定手術に挑む決断をします

彼女を助ける方法は他になかったから



手術は無事に終了し、術後の合併症も乗り越え、数か月が経ちました

移動が可能であると診断されると、彼女はオーナーの牧場に帰ってきました

立派なバンテージを装着された彼女には手紙が添えられていました



これまでに経験のないような手術をしたこと

術中、術後の経過

そしてこれからの獣医療のためにも、経過を報告してくれないかということ

診療所の責任者の名前と共に、そんな内容が記されていました

もちろん協力しました

彼女の変化をいつにも増して気にしました

牧場を含むみんなが彼女の患肢と状態に気を配り、祈りました

彼女は…乗り越えました

そしてその牧場で母となり、仔馬を育て、立派に仕事をこなしました

昨年、その馬を祖母に持つ牝馬に出会いました

牧場の方に当時の話をして、懐かしい記憶と嬉しさでいっぱいになったのを覚えています

あどけない牝馬は無事にデビューし、厩舎のメモリアルホースになり、先日勝利を重ねました

立派になったね

この頃は幼かった顔もレースではキリッとしていました




先日、栗東出張で当時のスタッフだった先生方に彼女の報告をしました

新しくなった栗東トレセン競走馬診療所です
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もう臨床現場から離れてしまっている先生方も、当時の手術を覚えていらっしゃいました

「時々あの血統を追っかけて戦績チェックしてるんだよ



祖母のシンコウエルメス号は我々獣医師に多くのことを教えてくれました

彼女の血は今も確実に繋がっています

これからもあの頃の面影を孫娘に探すでしょう

ありがとうねエルメス



そして決して諦めなかった藤沢調教師に

心から感謝します





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