ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
敬老の日
2016年09月24日 (土) | 編集 |

子どものころは9月15日に決まっていた敬老の日

いつの間に連休にしたの?と毎年思います

ちょうど台風の影響も心配だったので、19日の敬老の日、静岡の両親に電話しました

元気そうな声

「何か欲しいものはない?」って聞くと

「電子レンジが壊れちゃって…」と母

「わかった。すぐ送るよー」

そんな話をして電話を切りました

両親は、私が獣医師になりたいと言った時から反対でした

理由は”女性が仕事をする必要はない”という父

”そんなにお金は出せない”という母

父はサラリーマンで母は看護師でした

二人は働きながら早朝の牛乳配達もしていました

自宅では内職もしていました

わがまま言って大学を受験し、受かった時は二人の前で土下座しました

「獣医大学に通わせてください」って

その時父に言われました

「お前を一生恨むよ…」

両親は老後のためにと少しずつ貯めていた貯金を全て学費に充ててくれました

いろんな親がいて、いろんな子どもがいて、いろんな人生があります

私の両親は幸せなのかなって思います

娘を大学に通わせなかったら、違う人生があったのかなって思います

だからできる限りのことをしながら生きていけたらと思います

自慢の娘でいられるといいなぁと思います

幸せだなぁってたくさん思って欲しいと思います

毎日笑っていてほしいって思います

私には幼くして亡くなった姉がいます

「親より先に死なないで」と言われます

それも守らなくては!と思います



敬老の日もその後も

みなさんのご両親、おじいさま、おばあさま、みんなみんな

幸せでありますように


アイアンマン・アジア太平洋地区選手権
2016年09月01日 (木) | 編集 |

6月の初め

今年初めてのトライアスロン、アイアンマン・アジア太平洋地区選手権に参戦してきました

場所はオーストラリア・ケアンズ

少し長くなり、馬の話も出ないので興味おありでしたら読んでください

洞爺湖で開催されていたアイアンマン・ジャパンが今年から中止になったこともあり、日本から何百人も参加していました

1人で申し込みましたが、飛行機も日本人だらけで両隣の男性は同い年だったこともあり、すぐ仲良しになりました

たまにはこういうのもいいですね

ケアンズには観光で訪れたことはありましたが、今回は全く違う様相

世界各国からやってきた数千人のアイアンマンが集う街になっていました

アイアンマン・ヴィレッジです
IMヴィレッジ

IMヴィレッジー2


朝5時に空港に着いて軽くコース見学へ  3日目にはレースです

受付やブリーフィング(競技説明会)、バイクの組み立てやメンテナンス、バイクの預託や準備などいつも通りバタバタ

朝2時半に起きて朝食や支度をして、スイム会場までバスで向かいます

前日の海(写真)もやや荒れてはいましたが、当日は波が高い状態でした
スイムエリア
この時はまだ晴れていましたが…

日本の大会なら中止だそうです

怖いながらも泳ぎ進んでいると、波はどんどん高くなり、雨も強く降り始めました

うねりもあり、途中で嘔吐している選手もいました

かなり長い間泳いでいたように感じました

3.8㎞のうち、あと数百メートルで終わるという頃、大きな笛の音が聞こえました 岸に上がれという合図です

「制限時間が過ぎたんだ…スイムもバイクもランも練習してきたのに、これでアイアンマン終わっちゃうんだ」

そう思うと涙が出てきました

カヤックの男性スタッフに「もう時間なんだね」と言うと 「違うよ。波が高すぎるんだ。たぶん競技は続けられるよ」

「ほんと?じゃあ岸に行ってみる!」 「うん!Good Luck!」

岸に上がり、スイムアップのゴールに向かって走っていると向こうから女性スタッフが走ってきました

「Keep Going!Keep Going!(続けて!)」

続けられる!急いでバイクエリアに行き、ウエットスーツを脱いで(ボランティアが手伝ってくれます)バイクウエアに着替えます

バイクコースは獲得標高1200mほどのアップダウン

昨年出場したアイアンマン・ジャパンは2300mでしたからまだラクですね

時々降る雨も気にならないくらい、ただ制限時間に間に合いますようにと祈りました

180.2㎞を走り終え、無事にトランジションエリアに帰ってこられました

ランの42.2㎞もひたすら祈ります…間に合いますように

そして制限時間の16時間半までにゴールできました

今年も夢のアイアンマンになれました

ゴール




気持ちは浮ついていました

日本に向かう機内で、ある出来事を聞くまでは…

参加した日本人の男性選手がスイムで溺れ、意識不明でケアンズ市内の病院へ搬送されたというのです

帰国後数日して、その男性が亡くなったと聞きました 彼は同世代でした 

同じフライトで飛び、同じホテルに滞在し、同じスタート地点に立ち、同じゴールを目指した人でした

そしてトライアスロンを、アイアンマンを愛していた人でした



毎日ふとした時に涙が出ました

残された家族、友人の気持ちを想い、トライアスロンはリスクが大きすぎるんじゃないかと思いました

私は続けていけるのか 家族はどう思うのか そんなことも考えていたと思います

今回の事故を知った家族は、やめてくれとは言いませんでした

そして今は大好きなアイアンマンに、またなりたいと思っています

どうしてこんな過酷で辛くて時間もお金もかかる競技を好きになってしまったんだろうと考えます

決してカッコよくはない自分の身体、決して強くはない自分の心

それでもこの競技を終えたとき、声援を浴びてゴールしたとき

そんな自分のすべてが好きになれて、認めてあげられるんです 

自分の周りに対して感謝の気持ちでいっぱいになれる

亡くなった仲間を想い、これからも彼が愛した世界を追いかけたいと思いました

今回もケガをおしての参加で、3か月経った今もリハビリ中です

今大会の完走メダルはケアンズに生息する青い蝶ユリシス
メダル
その姿を見るだけで幸福になれると言われています


いつまで、どこまでできるかわからないけれど、それでも前を向いて歩こうと思います








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