ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
夢のブリーダーズカップへ
2014年10月31日 (金) | 編集 |

8月に開催された米国アーリントンミリオン

2014 Arlington Million


優勝したのはHardest Core(ハーデストコア)号(せん4歳・父Hard Span)

このレースを勝ったことで今週末、米国サンタアニタパーク競馬場で開催されるブリーダーズカップの出走権利を獲得しました



実はこの馬

昨年の11月に、生死をさまよう大きな手術を受けています

Hardest Core号はキーンランドのせりで2万1千ドル(約210万円)で落札され

オーナーの息子Andrewさんの30歳の誕生日としてプレゼントされました

Andrewさんはダウン症だそうです
Hardest Core Andrew
(Photo: ALEJANDRO A. ALVAREZ)

彼を管理しているのはGraham調教師
Hardest Core Graham
(Photo: Penn Vet)

管理馬は2~3頭だそうで、何でも一人でやっているそうです

Graham調教師が去勢手術したばかりのHardest Core号を放牧し

しばらくして見てみると、馬が倒れていました

一目で痛みがあるとわかりました

そして、調教師は悪夢を目の当たりにします

手術をした部位から腸管が出ていたのです

あまりの痛さに馬は立ち上がれず、安楽死という言葉が頭をよぎりました

しかしHardest Core号は立ち上がります

調教師は急いで馬運車にのせ、近くのペンシルバニア大学ニューボルトンセンターへ搬入しました

去勢は多くの馬に施される手術ですが、出血や感染そして今回のような内臓突出などの合併症を起こすと生死にかかわります

手術は3時間におよび、腸管は19フィート(約5.7メートル)が切除されました

術後は良好で、合併症もなく、5日間の入院の後に退院

入院中に世話をしたTomさんとHardest Core号
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(Photo: Penn Vet)

Tomさんいわく「最高の患者さんだった。信じられないくらいお行儀よかったよ」

リハビリも順調にこなし、大人しく従順で、食べることと寝ることをこよなく愛しているというHardest Core号

術後はアーリントンミリオンの前に2つのレースを快勝しています

いったん競馬場のコースに入ったら…「彼は何をすべきかわかっているんだ。まるでマシーンのようだよ」

担当したDr.Southwoodの発表によると、疝痛手術から競走復帰する馬は76%

これまでのところ、外科的治療を施した群と内科的治療の群では、競走成績や獲得賞金に差はみられないそうです(同クラス内)

そして個人的に嬉しかったのは

彼の手術を執刀したDr. Louise Southwoodが

女性獣医師だったこと
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(Photo: Penn Vet)

手術には獣医師であるご主人も参加しました



Graham調教師は言います

有名調教師なら月に一度はこんな思いをするだろうけどね、僕みたいな調教師には一生に一度の経験なんだ

なんていうか…これは僕の夢だったんだよ



競馬にはいつも多くの人の夢が重なっています

Hardest Core号の関係者、病院関係者

世界中の馬関係者とファンの方々

そして我々獣医師も週末は熱い想いを抱きながらレースを観戦することでしょう

無事に走り終え、待っている人たちのもとに帰ってきてほしいですね

We wish you all the best luck and safe racing!




ブリーダーズカップ・ターフは11月1日(土)サンタアニタパーク競馬場

現地時間15時22分(日本時間11月2日(日)7時22分)発走です

ブリーダーズカップのサイトはこちら




あと三週間
2014年10月29日 (水) | 編集 |

早いものでホッカイドウ競馬開催もあと三週間になりました

昨日は道内各所に初雪が降りました

ちょっぴり寂しいです




10月2日(木)のメインは第9回道営スプリント(H2)でした

優勝は原厩舎のアウヤンテプイ号(牡5歳・父ムーンバラッド)
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鞍上は宮崎騎手

頭の切り替えが上手な、獣医師にも人気のあるプイくん

関係者のみなさん、おめでとうございます


10月16日(木)は第17回エーデルワイス賞(Jpn3)

優勝は沖厩舎のウィッシュハピネス号(牝2歳・父ゴールドアリュール)
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鞍上は戸崎騎手でした

関係者のみなさん、おめでとうございます




22日、ジェイエス繁殖馬セールに行ってきました

繁殖馬セールは競走馬としての生活を終えた牝馬が新たな価値を見出されるための大きな舞台

こうしたきっかけで新たな縁ができ、また違った世界が広がっていくのですね

馬たちの新天地への旅立ちを見届けてきました






これまでと同じようにたくさんかわいがってもらってね



会場内での食事はハンバーグカレーと豚丼のどちらかを選ぶのですが

「両方食べたいなー!」って言ったら、お姉さんが「もちろん!」

全部のっけ盛りしてくれました


それでも足りない私は…

東静内のねこや食堂さんで

ぶっかけうどんを食べて仕事に戻りました


馬も人も肥ゆる秋ですねっ




パピプペポパピー号の素顔
2014年10月14日 (火) | 編集 |

寒くなりましたね

みなさんお風邪などひいていませんか?

馬たちもすっかり冬毛になってきました

林厩舎では

冬に備えて馬服のお洗濯をしていました
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大きいので重労働なんですね

毎年お疲れさまです!




今日はユニークな馬名で人気の、あの馬を再びお見せしますね

パピプペポパピー号(谷口厩舎、2歳牝馬、父ブラックタキシード)

いつもはメンコをしているので

まずはすっぴんパピーをどうぞ
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キュートでしょ

馬房ではとても大人しいのですが

一歩外へ出るとテンションが上がります

この時は彼女の目線の先にある競馬場のアナウンスが聞こえてくるので興味津々

厩舎カラーのメンコをつけてもらってー
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あーんってハミをつけてもらってー
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パピプペポパピー号のできあがりっ
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さあレースで皆さんに観てもらおうね

こんな風景を見ることができるのもあと一ヵ月ですね




そうそう!パサパさんでは期間限定で

オーナーの薫さんご実家で採れた栗を使った
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和栗のモンブランが発売中です

イチゴタルトといい勝負してます!おすすめです!

今月末までの販売は難しいかなーとおっしゃっていたのでぜひ急いでゲットしてくださいね




そして米国ではあのBarbaro号の全兄弟が今週デビュー予定です

2012年に父のダイナフォーマー号が死んだため

この馬が最後の全兄弟なのですが

もう…とにかくお兄ちゃんとそっくりなんです
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(Photo:Pennmarydel FB)

左がBarbaro号、右が弟のPennmarydel号です

無事に長く走って欲しいと思います

数年でこんな経験ができるのも、競馬の世界ならではかもしれませんね

Barbaro号の記事はこちらです→ 「Barbaroの戦いが終わった」





ナイター競馬の門別は寒くて、お客さんのことも心配ですが

ぜひライブで…ダメなら画面で!

頑張る馬と人を応援していただけたら嬉しいです

みなさんの声援は届いています

これからも

ホッカイドウ競馬を、そして世界中の馬と人をよろしくお願いします