ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
夢のアイアンマンレース
2010年09月23日 (木) | 編集 |

今回は久しぶりのプチチャレンジ記事です

私にとってはプチじゃなかったんですが・・・

4月末の石垣島トライアスロンを完走したら、エントリーしようと決めていたレースがありました

それは

アイアンマンレース

世界中で開催されているアイアンマンレースの主なものは2種類

アイアンマンスイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km

アイアンマン70.3スイム1.9km、バイク90km、ラン21km

ちょうど半分にあたる70.3マイルのレースなので「ハーフアイアンマン」とも呼ばれています

このアイアンマン70.3大会が、日本で初めて開催されることになったのです

場所は愛知県 セントレア中部国際空港

大会名は
セントレア空港のアイアンマンポスターです。カッコいいんです!

アイアンマン70.3セントレア常滑ジャパン

9月19日(日) この大会に参加してきました

さすがにアイアンマンレース

選手の層が全然違うの・・・雰囲気、会場、これまで出ていたオリンピックディスタンス(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)の大会とは違いました

空港内で行われた競技説明会
競技説明会。みんな引き締まった体。普通の大会と全然違うんです。圧倒。
引き締まった体の選手ばかり

ここで言われたのは

スイムコースの潮流が強いため、負担をなるべく減らすようにコース方向を逆回りにすること

バイクは"えー!こんなとこ走るのー?"っていうようなコースになっていること

ゴールがある空港島までの連絡橋に、空港の業務が終了次第、徹夜で工事を行ってランコースを作るということ

そして

大会を1回で終わらせるような事故のないようにして欲しい

ということでした

初めての大会

たくさんの関係者の"成功させたい"という願いがこもった国際大会だということ

十分伝わってきました




説明会が終わると選手の受け付け

スタートリスト(選手名簿)やゼッケンなどが配布されます

これがまたカッコいい
スタートリストとゼッケン。このロゴに世界大会を実感。
そして緊張MAX


今回は空港が会場ということで、バイクは自分で分解して持って行きました


組み立ててから
バイクメンテナンス中。プロの仕事に、根性に感動。
メンテナンス会場でチェックしてもらいます


地元の自転車屋さんですが、とても親切にしていただきました

足りなかった部品を購入しようと思ったら、破格の安値を言われました

「それ安すぎませんか?私でもわかる安さですよー」

と笑う私に

「僕はね、このアイアンマンレースに関われる経験が財産だと思っているんです。この部品はパンクしたら使うものですが、使われずに帰ってくることを祈ってますから。」



じーんときました

完走を報告できたらどんなに嬉しいか・・・





大会前日はいつも眠れません

今回も2時間くらい眠っただけ

当日は快晴

外国人MCが冗談交じりにアナウンスし、大会を盛り上げてくれました

予想最高気温は32度、スタート時は無風

頭上を2機のヘリコプターが轟音をたてて飛んでいます

スイムは絶好のコンディション

第1ウエーブの選手がスタートしました

海スイムの苦手な私は第3ウエーブ・・・

が、が、頑張りました

何度もコースアウトして注意され、係員のシーカヤックにも激突

目標も見えず

他の選手に蹴られ、叩かれ、潮にも流され・・・




命からがら、得意の"制限時間少し前"にスイムアップ

スイムで終わる覚悟もしていたので、この後は行けるだけ行くしかない!

次はバイクです

バイクはとにかく長い・・・ノロマな獣医の場合、4時間以上は走ります

ここでは事故のないように慎重に

熱中症にならないように工夫して給水と補給(ナトリウム濃度を自分で調節したスペシャルドリンクをボトルに3本用意しました)

そしてゆっくりでもいいから諦めないで前に進むこと

そう決めて走りました

実際は苦しくて時間はギリギリ・・・いやひょっとして制限時間オーバーかも?

不安の中、バイクフィニッシュ

銚子の大会は自分からリタイアしちゃったけど、今回は誰かに止められるまで続けようと思っていました

ランに出るとき

腕時計を忘れてしまったことに気づきました

戻る?・・・いや戻ったら時間が危ない

そのまま走ることに決めました

バイクの後の体は石の塊のように感じます

走っているつもりでも、全然進みません

これで21kmいけるの?そんな思いがずーっと頭にありました

でもランコースは1~2kmおきにエイドステーションがあり、とても助かりました

水やスポーツドリンク、コーラを飲み、帽子を取って頭を下げ、水をかけてもらいます

「頑張ってね!」 「お水飲んでいく?頭からかけようか?」 ボランティアの声に励まされました

こういう限界に近いとき、体の基本的な機能がはっきりわかります

エイドで補給すると、少し元気になるんです

ランも長かった・・・それよりも時間が間に合うのかが気になりました

いつ時間を聞こうか・・・

でも聞いた瞬間やる気なくしてしまうのがコワくて聞けません

思い切って聞いたのは

残り3kmの地点でした                         

「3時15分だよ」

ボランティアの声に初めて時間内に帰れると確信しました



残り2kmの地点に、親子連れがいました

選手に声をかけてくれていましたが、私が通りかかると、冊子を広げています

それはスタートリストでした・・・ゼッケン番号で選手を探していたのです

彼らが私の名前を見つけたとき、私はその家族の少し遠くを走っていました

すると、男の子の叫び声が・・・

「○○ちゃーん、がんばってーーー!!」

私の名前を呼んでくれたんです

私は苦しさも忘れて、振り返って両手をその子に向けて振りました

「ありがとーーー!がんばるーーー!」

ここで泣くと呼吸できなくなるのでガマン

あとはただ前に進むだけ

ゴールが見えてきました

プロの選手も応援してくれました



そして
アイアンマンのフィニッシュゲート。どれだけここにたどり着きたかったか!
夢にまで見たゴール




すごい

ゴールしちゃったんだ

帽子とサングラスをはずしてコースに・・・応援してくださった方たちに頭を下げました

大会オーガナイザーの白戸太朗さんが両手の親指を立てて笑いかけてくれました

思い切り泣きました



会場を後にしながら

行きかう関係者にお礼を言い、泣きながらホテルに帰りました

トライアスロンは一人で行う競技

でも

一人では絶対に完走できない

たくさんのサポートを受けてスタート地点に立てた

たくさんのサポートを受けてゴールすることができた

ありがとうという気持ちがあふれていました




実はトレーニングしていた時期に

ホッカイドウ競馬の存続が危ない、という話を聞きました

「9月にハッキリするらしいけど、来年はもうないね」

それを聞いてから、トレーニングには集中できなくなりました

もし競馬がなくなるのなら、できるだけ長く馬たちのそばにいたい

そう思いました

そして・・・大会のキャンセルを決心しました



やめると決めた夜は、気持ちが軽くなりました

よし、仕事に集中、集中!って思っていました

でも翌朝

バイクにまたがってみると、涙が出てきて止まらなくなったんです

私は好きだったんだ、この競技が・・・

キャンセルしたら、きっとずっと後悔する

スタートに立てるだけでもいい、やれるだけやろう

そう決めました





後日

大会の間際になって、存続の見通しがあるような報道がありました

ほっとしてはいますが

やれるだけのことをやり続けるのは、ホッカイドウ競馬も同じ

ただ

諦めたらそこで終わりなのも同じ

アイアンマンレースは最初からずーっと苦しかった

でも私を支えてくれていたのはホッカイドウ競馬への思い、競馬世界への思いでした

ファンも馬たちも、関係者も前を向いて、信じて歩いている

そんな思いに支えられていました




強くなりたいと思いながらトレーニングしてきたけど

ずいぶん涙もろくなりました

人の優しさを、感じられるようになりました

諦めちゃいけないって思うようになりました

ありがとうが心から言えるようになりました




私は

いろんなことを気づかせてくれるこの競技から、離れることができないかもしれません

ただ

仕事にも必ず役立てていけると信じています

時間の融通がきかなかったり、付き合いが悪くなるとは思いますが

どうか、これからもお付き合いください







常滑市民のみなさま、セントレア空港の関係者のみなさま、大会運営に関わられた多くのみなさま、素晴らしい大会を、そして貴重な経験を本当にありがとうございました。






大会写真をいただきましたので、よかったら見てください。 IRONMAN70.3TOKONAME,JAPAN

トライアスロンについて知りたい方へ。 Wikipedia



大会の様子は27日の深夜0:50より東海テレビで放映されるそうです。
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ブリーダーズGJCとステイヤーズC
2010年09月11日 (土) | 編集 |

彼らは何も知りません

自分たちの居場所が今後どうなるかわからないこと

ホッカイドウ競馬の存続が危ぶまれていること・・・



関係者は不安を抱えながら日々の仕事をこなしています



私たちは獣医師として、彼ら競走馬が少しでも長く競走生活を続けられるよう努力しています

いわば守って"あげている"つもりでいました

でも支えてもらっていたのは私たちだったのかもしれません



9月8日の重賞レース

netkeiba.com杯ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H1)

堂山厩舎のモエレフウウンジ号が優勝しました(レース写真は日刊スポーツ奥村記者よりいただきました)
モエレフウウンジ号ゴール!強かったね!
鞍上は山口竜一ジョッキー

1番人気と予想していたゆえ、その重責と戦ってきた1頭と1人の厩務員さん

いつもいつも遅くまで運動していたね

一緒に勝ち取った勝利は本当に誇らしいと思うよ
いい顔して歩いてますよ。左に写っているのは堂山先生です
おめでとう、よかったね





9月9日の重賞レース

ステイヤーズカップ(H1)

田中淳司厩舎のマキノスパーク号が9番人気で勝利しました
服部ジョッキー、感動のガッツポーズ!これを待っていました!
服部ジョッキーは今年初の重賞制覇


楠厩舎の解散後、田中厩舎に移籍した服部ジョッキー

彼は調教が終わると、毎日厩舎に残って作業を手伝います

レースや能検で他の厩舎の馬に乗ると、騎乗後は必ず馬の様子を見るために顔を出します

いつでも笑顔を絶やさない彼には、強い思いがあったと思います

そんな姿勢は厩舎の結束を強くし、厩舎は「服部ジョッキーとともに重賞を!」の思いで団結していました

それでもなかなか結果がついてこないのが競馬

淳司先生は辛かったと思います


田中淳司厩舎、開業4年目
仲良し厩務員さんとガッチリ握手
これが初重賞制覇となりました


厩舎のみんなで抱き合い
みんなで抱き合って喜びました。嬉しい嬉しい口取り
みんなで口取りしました







そしてみなさんへ一枚の写真を残します

もう何の説明もいらない

この姿を見たら十分伝わるから・・・


何度見ても泣けてきます。ここまで待って待って待ちました。おめでとう。


写真を見たファンの方が言いました

「表彰式の時に淳司先生の服が砂で汚れていたのがなぜなのか、これでわかりました・・・」




淳司先生らしい・・・

先生の想いは伝わり

厩舎はこれからも強くなっていくでしょう




先日、このような報道がありました

「道営競馬存続の方向 本年度収支均衡見通し 知事が来月にも決定」(北海道新聞9月9日)

新聞記事やテレビで報道される内容に、一喜一憂してきたファンと私たち

裏切られてしまうことの方が多かったね

たくさんこんな思いをしてきたから

いつでも安心できる状態ではないことは、みんなよくわかっています



でも

ひたむきに走る馬たちと

そんな馬たちと毎日暮らすホースマンたちが贈り出す物語に

元気を勇気をもらいました

そう・・・ひたむきに

ただ前を向いて歩こう

当たり前のことを馬たちに教わりました




これも

ファンの方たちと接する機会がなかったら

一緒に共有できていなかったら

気づかなかったかもしれない

みなさん、あたたかい声援を本当にありがとうございます

これからもホッカイドウ競馬を、そして競馬の世界を

一緒に応援してください








北海道は過ごしやすい季節になりましたが朝晩は冷え込みます。競馬場にお越しの際は、上着を一枚、バッグに入れていらしてください。内地の方々、まだまだ暑いと思いますが、きっとあともう少しの辛抱!頑張ってくださいね。
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