ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
三冠馬誕生の裏側で
2010年08月29日 (日) | 編集 |

2010年8月19日

王冠賞(H2)を優勝し、ホッカイドウ競馬史上初の

牝馬三冠馬となったクラキンコ号
牝馬史上初の三冠馬誕生のゴール
レース写真(2枚)は日刊スポーツ奥村記者よりいただきました

宮崎ジョッキーの騎乗も素晴らしかったですね
嬉しそうな宮崎ジョッキー。騎乗も素晴らしかったね
担当の今野さんも嬉しそうです


クラキンコ号の父はクラキングオー、母はクラシャトルといいます

父は35戦12勝、北海優駿、ステイヤーズC(2連覇)、道営記念などを勝ち、

母は32戦7勝、北海優駿などに勝利

ともに倉見牧場で生まれたホッカイドウ競馬ゆかりの競走馬

クラキンコ号は生まれたときから、倉見さんの、そしてファンの希望の星でした

そんな彼女がこの世に生まれた裏側を、獣医師としての立場からお話したいと思います

このお話をするのは初めてです

「こんなことがなければ、みんなに知られないことだしね」

倉見さんがお許しくださいました

少し長くなりますが、思いをこめて書きますので、よかったら読んでください

クラキンコ号の父、クラキングオーについてはNHKの番組でも紹介があったと思います

私の診療所が、当時の治療を担当していました




2003年5月28日サクラローレル賞

このレースでクラキングオーは競走を中止し、これが彼の競走馬としての最後のレースになりました

厩舎に帰ったクラキングオーは右前肢に体重をかけることができない状態

精密な検査は行なっていませんが

主要な腱や靭帯に大きな障害を受けていることがわかりました

関係者の頭にひとつの言葉がよぎりました

それは安楽死という言葉

競走馬は自身の体重を3肢で支えることが難しく、特に前肢に障害を受けると反対側の肢に蹄葉炎(ていようえん)のリスクが発生します

当初のクラキングオーを診て

状況は深刻だと感じました

数日経過を見てみようということになり、治療を開始しました

事故の翌日、厩舎に行った私は廊下いっぱいに置かれたものに気づきました

それは青草の山

さっき刈り取られたとわかるくらい新鮮な青草が、たくさん積んであるんです

担当の今野さんが言いました

「倉見さんが置いていってくれたんだ」

5月といえば繁殖牧場の繁忙期にあたります

しかしキングオーが厩舎で休養していた間

1日も欠かすことなく、馬房の前には新鮮な青草が積まれていました




そして馬房のキングオー・・・・

なんと寝ているではないですか

文字通り、大の字で

この馬が寝ているところなんて今野さんも私も一度も見たことがありません

彼は絶対に弱みを見せない、そんな気性の馬でした

今野さんが言いました

「事故以来、ほとんど寝てるんだ。こいつわかってるんじゃないかな」

その姿を見て

ひょっとして・・・なんとかなるんじゃないか

そう思ったんです

キングオーは聡明な馬

対側肢に負担をかけない唯一の方法

彼は結局、大きな炎症が治まるまでの数週間を、ほとんど馬房で寝ていることでしのいだのです

蹄葉炎になる要因には、他に濃厚飼料の多給があります

これも倉見さんが持ってきてくれる新鮮な青草を与えることでリスクは減少しました

我々獣医師はいつも最悪の状況を想像し、心のどこかで準備をしています

もちろん、経過は順調というわけではありませんでした

でも

彼は・・・クラキングオーは諦めませんでした

そして、不安をひとつひとつ払いのけてくれました

私は獣医師として、そして競馬に生きる人間として

彼からたくさんのことを学びました




倉見牧場に帰るんだ・・・

今野さんからそう聞いたときの嬉しさは今も忘れません

あの肢はもう元には戻らない

痛みはずっと消えないでしょう

でも彼と倉見さんなら大丈夫

厩舎を去り、生まれ故郷に帰るときにはそんな確信がありました




3年後の2006年

クラキングオーは倉見さんのもとで、種牡馬として1頭の牝馬に種付けをします

肢のこともあって相手の牝馬は1頭だけ

それがクラシャトルだったのです

2007年4月11日

倉見さんが電話をくださいました


「生まれたよ」


生まれたばかりのクラキンコはお母さんにピッタリ寄り添っていました

胸がいっぱいになって

倉見さんの笑顔も見ることができなくて

ごまかすためにカメラのシャッターを押しました


  

生まれたてのキンコの写真を一番に見せたかった人がいました

それは堂山調教師

厩舎を訪ねた私は、先生に言いました

「先生、生まれました」

先生のあんなに嬉しそうな顔を見たのは初めて


「オレさ、実はクラキングオー何度も見に行ってるんだ・・・こっそりね。放牧地の外から声かけるとさ、あいつこっち来るんだ」


2年後

クラキンコ号は、この堂山厩舎でデビューし

翌年、三冠馬となったのです




それではクラキングオーの現在の様子を紹介します

キンコが三冠馬になった数日後、倉見さんを訪ねました

クラキングオーです
ちゃんと会うのはキンコ誕生以来かな。いつもバイク練習で見てます。きんたーん!って呼んでます。
気の強い眼差し、変わってないね

彼は今も新鮮な青草じゃないと食べないんですって

故障した肢
今でも走り回ると熱感が出ます。歩きも正常ではありません。この肢を見ると思い出すことがいっぱいです
日によって痛みが大きかったり、熱を帯びるそうです

そんなキンたん、大好きなのは
倉見さんの奥さまが発見したクラキンのお気に入り。馬版孫の手
孫の手@熊手バージョン

これは倉見さんの奥さまが偶然発見したキンたんのお気に入り

痒いところに手が届いて
かいてもらいながら自慢顔。この顔。いいオトコ。
この得意顔

今回は三冠を祝って

パサパの薫さんにケーキを作ってもらいました

パサパ特製ロールケーキ三冠バージョン
パサパの薫さん、いつもありがとう。今回もメロメロよ私
奥には王冠、手前にはVⅢの文字

同じものを倉見さんと堂山先生にプレゼントしました



倉見さんのご自宅の玄関には
キングオー引退式での盾。立派で重みのある盾。
キンコちゃんに贈られたお花と、キングオーの引退式に添えられた盾が一緒に飾られています




キンコ当歳の写真は倉見さんも持っていないそうです。貴重なので何度も載せますよ
ホッカイドウ競馬に訪れた優しい奇跡

クラキンコ号はここ、日高で産まれ育ちました

今野さんは厩舎で別れて以来、牧場のキングオーを訪ねたことはないそうです

でもね

「こいつさ、やることなすことキングオーそっくりなんだ」

そう言ってキンコを撫でる今野さんとキングオーには

私たちにはわからないつながりがあるんだと感じます





堂山先生とのショット。先生、本当によかったですね。
競馬の素晴らしさを教えてくれてありがとう



ここまで一頭の競走馬を

ファンも関係者も、みんなで応援したことってなかったね



貴方のおかげで

ホッカイドウ競馬を想うみんなの気持ちがひとつになった

ファンのみんなが貴方を応援する姿に、心から感動したよ



貴方のような馬が活躍できる場をなくさないよう

そして貴方のような馬にまた出会えるように

みんなで守っていきたい

そう思っています






たくさんの感動をありがとう。これからもキンコとホッカイドウ競馬を応援していきます
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みんなの願いが通じたブリーダーズゴールドカップ
2010年08月13日 (金) | 編集 |

ホッカイドウ競馬を支えるファン

そして縁の下で支える関係者

みんなの願いが通じました




台風4号の接近にともない、豪雨に見舞われた日高・門別競馬場

私も眠れませんでした

あの降りかた・・・あのどしゃぶりっぷり

以前なら馬場冠水で中止ですよね

でもホッカイドウ競馬の馬場管理チームは一晩中、冠水対策をしました

それは存続のかかったホッカイドウ競馬にとって、大事な大事なレースだったから・・・



メンバーも一流

こんなレースはなかなか観られません

20時15分

第22回ブリーダーズゴールドカップ(交流GII、3歳上、選定馬、別定、ダート2000m、1着本賞金3500万円)


この門別競馬場で

無事に開催されました

一日中、断続的に降っていた雨が
moblog_da006fef.jpg
完全にやみました

いつも写真を撮ってくださる奥村記者は、インタビューに向かうためカメラなし

これは治療器具を持たない獣医師みたいなもん?違うか



そこでファンのみなさんのために!と

いつもコメントくださるシャンママさんがカメラをかまえてくれました

この2枚はシャンママさんが急遽、撮ってくれた写真です

一番人気だったカネヒキリ号(右)
シャンママさん、たくさんの写真を本当にありがとう!
屈腱炎を2度も克服した英雄です

レースを制したのは

2番人気の

シルクメビウス号
調整中は牧場での治療をうちが担当していました。領家先生とがっちり握手は嬉しかった。でもちょっと複雑です
ちゃーんとポーズがとれる、とってもいい子

メビちゃんが着ているのはダーレージャパンさん特製、アドマイヤムーンが描かれている馬服です

シャンママさん、ありがとうございました

優勝インタビューを受けるのは

田中博康ジョッキー

「この馬に乗れることは本当に幸せなことなんです」

そう言っていたのが印象的でした





素晴らしいレースをありがとう・・・

ナイター設備が煌々と光る競馬場に向かっていたとき

そして、そこを後にしながら

嬉しくて涙がこぼれました




水はけの悪さで有名な門別競馬場を

一晩中ケアした馬場管理スタッフはじめ、関係者のみなさんが

どんな思いで作業していたか



そして・・・

どんな思いで豪雨の中、ファンが足を運んでくれたか



1300人を越えるファンの方たちの笑顔を見て

競馬ができることの幸せをかみしめました



みなさんと楽しめてよかった

本当にありがとうございました

これからもずっと一緒に競馬を楽しみましょう

ずっとずっと・・・ね





興奮しすぎて今夜(今朝?)もこんな時間さ。よい子はマネをするんでないよ
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たのしかった、たなばたまつり
2010年08月05日 (木) | 編集 |

4日(水)の15時より

門別競馬場では

トレセン町内会女性部主催「ホッカイドウ競馬グランシャリオナイター七夕まつり」が開催されました

晴れ予報だから来てもいいよ~とシャンママさんから誘っていただいたので


行ってきたの~
あれ?競馬やってんだっけ?というくらいテントが盛り上がってました
競馬やってんの?っていうくらいの大盛況


かわいいヨーヨーゲッター
彼女、かなりのヨーヨーゲッターです。強敵
負けないわよっ


人見知りしないメンコくん
競馬場内の血統です。すっげーパパ似なのら
競馬場で生まれた純血サラブレッドです



こちらスーパーボールすくい
たしか千葉調教師の息子さんだったはず。ごめんなさい
ハリドクは3つゲット。でもお金持ってないのでリリース


そしたらシャンママさんがツケでいいって
一個は釣れたのよ。でも欲出したらアウトさ
ヨーヨー釣れたぁ


七夕祭りでは、先着200名が短冊に願い事を書けるんです

そして書いてくださったお客さまにはパサパのクッキーをプレゼント


こちらは宮崎ジョッキーのお嬢さま
パパ思いの優しいお嬢さんですよ。勝てよ、パパ
ちょっと、願い事見た?ちゃんと見た?勝てよ、パパ


シャンママさんとジーンとなっちゃったのがこの短冊
字はともかく、嬉しい願い事。じーんときました
漢字はともかく、ウルっときました



競馬場内のパサパにも顔を出しました
初めて寄ったけど、すごくかわいいお店。私にぴったり。ぶぶぶ
きゃわゆい!私好みっつーか私にピッタリじゃん



粘って粘っていただいた焼きドーナツ
これ、おいちいたけお
一個100円なり。うまぁぁぁい



ちなみにハリドクの願い事
こんな願い事書いてるバヤイじゃないぞ!
叶うといいな


なぜかポツポツと冷たいものが顔に当たったので

せめられる前にそそくさと帰りました

婦人部のみなさん、かまってくださってありがとうございました

お客さま、うるさくしてゴメンなさい

門別競馬場、たくさんたくさん楽しんでいただきたいなぁ~と思います

競馬場のみんなが大歓迎です

ライブ競馬、ぜひいらしてくださいね





明日の5日はリリーカップですよ~
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