ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
アイアンマン・アジア太平洋地区選手権
2016年09月01日 (木) | 編集 |

6月の初め

今年初めてのトライアスロン、アイアンマン・アジア太平洋地区選手権に参戦してきました

場所はオーストラリア・ケアンズ

少し長くなり、馬の話も出ないので興味おありでしたら読んでください

洞爺湖で開催されていたアイアンマン・ジャパンが今年から中止になったこともあり、日本から何百人も参加していました

1人で申し込みましたが、飛行機も日本人だらけで両隣の男性は同い年だったこともあり、すぐ仲良しになりました

たまにはこういうのもいいですね

ケアンズには観光で訪れたことはありましたが、今回は全く違う様相

世界各国からやってきた数千人のアイアンマンが集う街になっていました

アイアンマン・ヴィレッジです
IMヴィレッジ

IMヴィレッジー2


朝5時に空港に着いて軽くコース見学へ  3日目にはレースです

受付やブリーフィング(競技説明会)、バイクの組み立てやメンテナンス、バイクの預託や準備などいつも通りバタバタ

朝2時半に起きて朝食や支度をして、スイム会場までバスで向かいます

前日の海(写真)もやや荒れてはいましたが、当日は波が高い状態でした
スイムエリア
この時はまだ晴れていましたが…

日本の大会なら中止だそうです

怖いながらも泳ぎ進んでいると、波はどんどん高くなり、雨も強く降り始めました

うねりもあり、途中で嘔吐している選手もいました

かなり長い間泳いでいたように感じました

3.8㎞のうち、あと数百メートルで終わるという頃、大きな笛の音が聞こえました 岸に上がれという合図です

「制限時間が過ぎたんだ…スイムもバイクもランも練習してきたのに、これでアイアンマン終わっちゃうんだ」

そう思うと涙が出てきました

カヤックの男性スタッフに「もう時間なんだね」と言うと 「違うよ。波が高すぎるんだ。たぶん競技は続けられるよ」

「ほんと?じゃあ岸に行ってみる!」 「うん!Good Luck!」

岸に上がり、スイムアップのゴールに向かって走っていると向こうから女性スタッフが走ってきました

「Keep Going!Keep Going!(続けて!)」

続けられる!急いでバイクエリアに行き、ウエットスーツを脱いで(ボランティアが手伝ってくれます)バイクウエアに着替えます

バイクコースは獲得標高1200mほどのアップダウン

昨年出場したアイアンマン・ジャパンは2300mでしたからまだラクですね

時々降る雨も気にならないくらい、ただ制限時間に間に合いますようにと祈りました

180.2㎞を走り終え、無事にトランジションエリアに帰ってこられました

ランの42.2㎞もひたすら祈ります…間に合いますように

そして制限時間の16時間半までにゴールできました

今年も夢のアイアンマンになれました

ゴール




気持ちは浮ついていました

日本に向かう機内で、ある出来事を聞くまでは…

参加した日本人の男性選手がスイムで溺れ、意識不明でケアンズ市内の病院へ搬送されたというのです

帰国後数日して、その男性が亡くなったと聞きました 彼は同世代でした 

同じフライトで飛び、同じホテルに滞在し、同じスタート地点に立ち、同じゴールを目指した人でした

そしてトライアスロンを、アイアンマンを愛していた人でした



毎日ふとした時に涙が出ました

残された家族、友人の気持ちを想い、トライアスロンはリスクが大きすぎるんじゃないかと思いました

私は続けていけるのか 家族はどう思うのか そんなことも考えていたと思います

今回の事故を知った家族は、やめてくれとは言いませんでした

そして今は大好きなアイアンマンに、またなりたいと思っています

どうしてこんな過酷で辛くて時間もお金もかかる競技を好きになってしまったんだろうと考えます

決してカッコよくはない自分の身体、決して強くはない自分の心

それでもこの競技を終えたとき、声援を浴びてゴールしたとき

そんな自分のすべてが好きになれて、認めてあげられるんです 

自分の周りに対して感謝の気持ちでいっぱいになれる

亡くなった仲間を想い、これからも彼が愛した世界を追いかけたいと思いました

今回もケガをおしての参加で、3か月経った今もリハビリ中です

今大会の完走メダルはケアンズに生息する青い蝶ユリシス
メダル
その姿を見るだけで幸福になれると言われています


いつまで、どこまでできるかわからないけれど、それでも前を向いて歩こうと思います








Ironman Cairns スイム


バイク


ラン












ノーザンホースパークマラソン2016
2016年05月23日 (月) | 編集 |

5月15日(日)

ノーザンホースパークマラソン2016が開催されました

16スタート地点
いい天気に恵まれました

例年通り、最初はペアラン2.5㎞
16ペアラン
スターターは右手に写る勝己社長

続いてこの大会メインイベントと言ってもいいトレイルラン7㎞
16坂路入口
競走馬調教用の坂路(はんろ)コースが組み込まれています

みんな立ち止まって
16坂路入口2
写真撮りまくり

走り心地はいかがでしたか?
16坂路内部

参加ランナーにはオーナーや牧場関係者はもちろん、前日も前々日も手術でほとんど寝ていない獣医師の先生の姿も(先生、カッコよかったです)



トレイルランを毎年先導してくれるのは

国内G1(菊花賞)、国際G1(メルボルンカップ)の覇者、そして日本馬で初めてオーストラリア最優秀長距離馬となった

デルタブルース号
デルタ2016
坂路を下りてきたランナーたちを待っていてくれました

一緒に写真撮ってー!って引っ張りだこでしたよ

今年のコースは少し変更され、坂路が後半に移動していました

毎年参加されていると思われるランナーさんが「今年は坂路走らせてくれないのかなぁ」と不安そうにつぶやかれたので

「安心してください。この後ちゃんと走りますよ

と声をかけると周囲でホッとした笑いが起きました

するとその直後、馬に乗って応援にやってきた方が!

なんと勝己社長ではないですか!!!

「しゃちょーーーー

ランナーみんなで手を振ります 社長もニッコニコ


「凄いね、社長さんが馬に乗って応援してくれるなんて、ちょっと感動する」

女性たちの声が聞えました

このコースは制限時間も長いので、最初から歩いている方もいます

楽しみ方は人それぞれ

そしてみんなが笑顔なんです


トレイルが終わるとハーフマラソンのスタート

私はハーフの準備に向かいましたが

ご飯をゆっくり楽しむ方たちもいます
16ごはん
美味しかったね

ランナーはボランティアの応援に励まされ

馬たちの応援に励まされます
16きんちゃん


エイドでは水やスポーツドリンク、とうもろこしやパークの手作りパン、そして冷たくて美味しい牛乳も提供されます

とうもろこしと牛乳はここで口にするのが一年で一番美味しく感じるんですよね



ハーフが終わると、チャリティーオークションが始まります

コンサドーレのマスコット
16ドーレくん
ドーレくんもお手伝いに来てくれていました



トレイルランを走ったオーナーに聞きました

「愛馬がいつも調教している坂路コース、実際走ってみていかがでしたか?」

「これからは"うちの馬、足遅い"って絶対言わないっ!誉めてあげようって決めたよ



いろんな大会を走ってきましたが、今回あらためて気づいたことがあります

コースに広がる広大な景色に両手を広げ空を仰ぐランナーがとても多いことです

後ろから見る姿は感動的でした

初めてこのマラソンを走った日を思い出しました

大会を実現するため尽力した先生の想いを感じ、並べられたパイロンを見るだけで胸がいっぱいになったこと…




この日一緒に笑い合い、走り合ったみなさんに感謝します

幸せな一日を本当にありがとうございました
16ジェンティル
(会場でひときわ目立ち、記念写真ラッシュになっていたジェンティルドンナ号と父キングカメハメハ号の初仔の写真)




ノーザンホースパークマラソン2016締め切り間近です
2016年03月26日 (土) | 編集 |

春めいてまいりました

今年もノーザンホースパークマラソン2016のエントリーが始まっています

開催は5月15日(日)

申し込みは今月末までです

名馬を輩出しているあのコースを

一緒に走りませんか?

こんな方も参加していましたよ(ホッカイドウ競馬・服部騎手と)
馬の楽園。でも今日はランナーの聖地になりました!


詳しくはこちらをごらんください
ノーザンホースパークマラソン2016オフィシャルサイト





今年のアイアンマン
2015年10月24日 (土) | 編集 |

今年のアイアンマンはジャパンとともにもう一つ、初めての大会に挑戦しました

年内最後のアイアンマンは米国ケンタッキー・ルイビル

出国した10月8日は北海道に超大型台風23号が近づき、飛ぶかどうかハラハラ

だから空港上空で見たルイビルの夜景には涙が出そうになりました
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空港にはウェルカムなパネルも
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ギフトショップもダービーの街という感じ
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街中のいたるところに三冠馬アメリカンファラオ
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もちろん本物の馬にも会えます
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8日に出発しても時差があるため到着は8日

翌日は選手登録とウェルカムパーティーがあります

さすが米国、起立して国歌斉唱
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現地ではオハイオ川に毒性のある藻が発生し、スイムが中止になる可能性があるとニュースで取り上げられていました

しかし直前になってスイム決行とのこと、複雑ながらホッとしましたー
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大会前日はスイムコースの試泳

思ったよりも水温が高く、なんとか泳げそう
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大会は日本人に全く会うことがなく、そのせいかみんな親切にしてくれましたが

総勢2600人が参加するほどのアイアンマンは初めてなので緊張しました

大会当日のトランジションエリアでは
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前日ハワイ島コナでスタートしたアイアンマン・世界選手権のゴールの様子がリアルタイムで放映されていました

アイアンマン仲間も出場しているレースをチラ見しながら気合を入れます

一通り準備を済ませたら、スイムスタート地点までの約1.5㎞ほどを歩いて移動

外気温は7度!

並んだ順から1~2人ずつスタートするので、長い人は2時間以上も待っています

スイムパートの様子です(Youtubeより)"2015 IRONMAN Louisville Swim Start"


3.8㎞はなんとか泳ぎ切りましたが、陸に上がると気温の低さに手がかじかみます

バイクに乗ってからも最初の40㎞くらいまではアゴがガクガクいってました

牧場エリアを中心に設定されたコースは見慣れた風景

でも数千人の選手やボランティアが参加するコース近くには馬の放牧をするわけがありませんよね…見たかったなぁ

180㎞のコース上で見かけた馬は数頭でした

獲得標高は約1500mでしたが、ジャパンはヒルクライムを含んだ約2400mでしたから、まだマシでした

ただ寒い中バイクで踏んだせいか膝が痛み出します

ランに移ると痛みが増しました

途中何度か針で刺してごまかします(こういう行為はおススメしません!)

ランは街中や住宅街を2周回する42.2㎞

痛みと闘いながら黙々と走っていると、斜め後ろで静かに走っていたおじさんのもとに

その人の子どもくらいかな、若い男の子が突然、凄い勢いで駆けこんできました

「おいおっさん、なに頑張っちゃってんだよ、笑わせんなよ」

酔っているのか、そんなニュアンスでけしかけました

辛そうに走るおじさんは静かに言いました

「やあ…今日はどんな一日だった?」

「なんにも変わんねえ一日さ。いい日なんてねえよ」

「僕はね…僕は今日という日を最高の一日にしたいと思って走ってるんだ」

その後のやり取りは聞えませんでした

しばらくして静かになったなぁと思って振り返ってみました…すると

二人は並走していました

男の子は黙っておじさんの隣を走っていました

苦しかったけれど、この大会で一番印象に残ったシーンでした

アイアンマンってやっぱり不思議な力を持っている…そう感じました

ゴールは美しい光と声援に包まれた4th Street Live
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眩しいくらい素敵で、忘れられないくらい苦しかった一日が終わりました
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アメリカの大会はゴールするとピザが出る!と聞いていました

17時間も走り続けた選手にピザかよ!!!と思っていた私ですが

きゃー!ピザー食べたいー!!!ってなってました

顔より大きなピザを三枚ペロリ
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この後スイーツも二つほど

お腹いっぱい食べたら、トランジションエリアまで愛車のバイクとトランジションバッグを取りに行きます

もう深夜1時を過ぎています
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バイクを撫でありがとうと言いながら、一緒にホテルに帰ってきました

今年の大会は全て完走という最高の形で終えることができました…支えてくださった全ての方々に感謝します

大会の様子(Youtubeより)"2015 IRONMAN Louisville presented by Norton Sports Health"





せっかくケンタッキーに来たのですから、お仕事もせねば!ですよね

行ってきましたよ、チャーチルダウンズ競馬場
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Barbaro号の像に涙が出そうになりました

美しい競馬場
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でも厩舎エリアは、風景も匂いも(笑)日本と変わらなくてホッとします
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今月末のブリーダーズカップ出走予定のKeen Ice号も見ることができました(許可をいただいていないので馬の写真は載せられませんが)
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また競馬場に併設されているダービー博物館では尊敬する大切な方のネームプレートも確認

2004年、アジアから初めて国際ウマ専門獣医師の殿堂入りを果たした青木修先生
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十数年来ずっとこれが見たいと思っていました。本当に誇らしいことです

たくさんの貴重な経験をさせていただきました

帰国してもしばらくは跛行していましたが元気です

いつもと変わらない日高の景色、大好きな人馬に囲まれて、幸せな日々にかえっています

全てに感謝です




長い記事を読んでくださったみなさま、ありがとうございました

寒くなりましたが、残りわずかになった今年のホッカイドウ競馬も一緒に楽しみましょう





ノーザンホースパークマラソン2015
2015年05月20日 (水) | 編集 |

5月17日(日)

今年もノーザンホースパークマラソンが開催されました

天気予報は晴れだったのですが、当日は不安定な空模様

雨あり、霰あり、風ありのエキサイティングな大会でした


今年はかわいい看板に参加ランナー全員の
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スタートリストが掲載されていました


舞台もいつも通り
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ホッカイドウ競馬のビジョンが大活躍


スタート&ゴールゲート
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大会は土曜日に駅伝が初めて開催され

主催者のノーザンファーム・チームが総動員で参加しました

「結果はどうでした? と聞くと

「自衛隊チームに優勝、持っていかれた ぐぬぬ。。。さすがですねー

来年はノーザンファームさんに優勝して欲しいです ちんたら走ってたら鞭で追うわよ



日曜日は2.5㎞のペアラン、7㎞のトレイルラン、21㎞のハーフマラソンが行われます

実は2.5㎞のペアランが一番ハード

全力で2.5㎞走るなんて信じられません



私はトレイル&ハーフのダブルエントリーでした

トレイルのコースは競走馬用の坂路コースが組み込まれているのですが

ここを走るファンの方々がとっても楽しそうなんです

写真を撮ったり、ダッシュしたり、踏み心地を確かめたり…

馬たちの気持ちも体中で理解でき、さぞかしヘロヘロになったことでしょう

じわじわ上がっていき、最後にキュッと傾斜がきつくなるのもよくわかると思います

でも嫌気がさすようなつくりではないんですよね

上がりきって開放感に包まれる、いい坂路です

そして今年もトレイルを先導してくれたのはデルタブルース号

国際G1優勝馬が颯爽と走る動画がノーザンホースパークさんよりアップされています

途中でおばちゃんが「あら!ちいさい子、来たしょー」って言ってますが

それ猫ひろしさんですから

♪ノーザンホースパーク☆デルタブルースくんの先導♪



そうそう、今年は牛乳エイドがハーフコースの終盤に移動していました

牛乳と手作りパンという最高の組み合わせを堪能しました

もう一度走りたいくらいです



レースが終わったら恒例のチャリティーオークション

今年はコンサドーレ札幌のドーレくんも登場して盛り上がりました
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稲本選手や岡崎選手の直筆サイン入りスパイクや、本田選手のサイン入りウエア

そして日本ハムファイターズの大谷選手のウエアも!
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もちろん競馬グッズもたくさん上場されました

いつもは億単位のセリを担当する中尾さんがギャグを飛ばしまくります

ひとりでいくつも競り落とす方もいらっしゃいましたよー
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バイキングでお腹いっぱい食べて、ノーザンファームさんの事務所におじゃまして

この日のメインレース「ヴィクトリアマイル」をみなさんと観戦
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帰り道、パークの木漏れ日の中

晴れた空を眺めながら歩きました

一年、あっという間でした

今年も無事に走ることができてよかった

このような機会を与えてくださる主催者に、そして支えてくださる多くのファンの方々に感謝します

みなさん、お疲れさまでした

そしてありがとうございました