ちっちゃいけどパワフル。いつも元気いっぱいの現役獣医師が、厩舎や牧場のごく普通の日常をご紹介します。
「馬の動き」が発売されます
2015年01月12日 (月) | 編集 |

いよいよ「メカニズムから理解する"馬の動き"」が発売になります

発売日は今月19日

アマゾンでは予約開始しています



出版社のサイトからも予約できます「緑書房のサイト」

なお、本文中に訂正がありますので、購入された方は参照にしてください(pdfファイルです)「訂正とお詫び」



芦毛馬や白毛馬の体表にカラーで書き込むのは海外ではとてもポピュラーな教育方法になっています

馬はどう思うかわかりませんが(笑)とてもわかりやすいですよね

売れ行きによっては今後もこのような本が出版される可能性が高くなるそうです

みなさん、一緒に応援&勉強しましょう





ガンの化学療法を施された馬のお話
2014年05月29日 (木) | 編集 |

Calvin号
Calvin gets a brushing from owner Jane Withstandley and nuzzles her daughter, Blair (Photo/MICHAEL S. WIRTZ)


オーナーのジェーンは愛馬に顔をうずめました

「ごめんね。こんな思いさせて」

お気に入りのおやつを差し出し…そして泣き崩れました

愛馬がガンの宣告を受けたのです

すぐに頭に浮かんだのは、どうやって死を迎えさせるか

愛馬の最期の時をなるべく快適に、そして幸せに過ごすにはどうしたらいいか…

しかし何よりも気がかりなのは彼と友情を築き上げてきた3歳のお嬢さん、ブレアちゃんに何て伝えたらいいのか、でした

彼女の愛馬Calvin(カルバン)号は10歳の牡

サラブレッドで、レースでは20戦1勝

彼女と出会った時はハンターとしての訓練を受けていたカルバン号

その時「幸せそうではなかった。とても怯えていた」ように感じたそうです

彼女はカルバン号を引き取り、自身で騎乗するようになりました

鞍はより体に合ったものに取り換え、ハミは当たりの柔らかなものに換えました

カルバン号はジェーンを信頼し始め、二人は競技会で優勝するようになります

「カルバンのジャンプは高くて力強いの。時々野生の獣に乗っているような気持ちになるわ」

でも彼女とブレアちゃんと一緒に馬房にいる時はとても穏やかなんだそうです

ガンが偶然見つかったのは今年の1月末

馬に比較的多いリンパ腫で、中でも比較的薬に反応するタイプでした

獣医師は3つの選択肢を提示しました

何もしないか、ステロイド剤で症状を緩和させるか、抗がん剤治療で完治を目指すか

ジェーンと家族は抗がん剤治療を選びました

Penn vet
(Photo/Penn Vet)

治療には15000ドル(日本円で約150万円)かかるそうです

保険でまかなえたのは最初の3か月で、ご主人と相談して貯蓄を崩そうとしていましたが、ジェーンのご両親が援助してくれました


抗がん剤治療の2回目で、体表のガンは目に見えない状態になったそうです

治療のクールの合間に二人は競技会、デボン・ホースショーに出場することもできました

今週末から次のクールに入ります

ジェーンはブレアちゃんにカルバン号の病気について話をしていません

それは彼が病気に見えないから

「元気でいられるよう時々病院に行っているのよって伝えてるだけ」

「私が大きくなったらカルバンと一緒にデボンに出るの」と言うブレアちゃんに

「そうなるよう祈ってるわ…」とお母さん



治療を施したのはペンシルバニア獣医大学のニューボルトンセンター

そう、ケンタッキー・ダービー馬、あのバルバロ号を手術した病院です

本症例がセンターで初の馬の抗がん剤治療になりました

これをきっかけに多くのオーナーが選択肢のひとつと考えてくれるようになるでしょう

症例が増えることで、今後の治療も大きく進みます

人と馬が少しでも一緒にいられる環境が、また増えるかもしれませんね


引用元記事
Chemotherapy gets a horse back in competition(The Inquirer)



犬はどうやって人を愛するのか
2014年03月27日 (木) | 編集 |

最近出会った本「How Dogs Love Us」

著者のアトランタ・エモリー大学の神経科学者グレゴリー・バーンズ博士は自身の犬を飼うことで

犬がどう人を愛するのかを調べたいと考えました

犬の脳は人の刺激に対しどう反応するのか

脳の反応を見るための機能的磁気共鳴断層撮影装置(fMRI)を用いるには障壁があります

犬が大人しくしていられるかどうか

通常、動物のMRI検査は鎮静剤や麻酔を使用します

でもこの検査は外部刺激による脳の反応を調べるため、それはできません

そのためバーンズ博士はトレーニングをします

その様子が動画でアップされています

How Dogs Love Us




喜びや感激など、ポジティブな感情をつかさどるのは脳の尾状核という部位

被験者(犬)たちはある刺激で尾状核に反応が現れたそうです

それは飼い主など、親しい立場にいる人物の「匂い」だそう

その匂いを嗅ぐことで彼らのテンションが上がるそうです

飼い主以外の匂いでは反応しなかったそう

愛しい愛しい犬たち

飼い主さん、今日もたくさんハグしてあげてくださいね




バーンズ博士の書籍はこちらです

How Dogs Love Us: A Neuroscientist and His Adopted Dog Decode the Canine BrainHow Dogs Love Us: A Neuroscientist and His Adopted Dog Decode the Canine Brain
(2013/10/22)
Gregory Berns

商品詳細を見る






ペットは私たちをよりよい人間にしてくれている?
2014年02月11日 (火) | 編集 |

先日、ペットとヒトに関する面白い報告がありました

発達心理学者でタフツ大学獣医学校教授のミューラー氏によると

18歳から26歳の500人を対象にしたアンケート調査を行った結果

ペットと関わりの深い若者ほど社交的で他へのサービス精神が旺盛であることが明らかになりました

でもその理由はまだわからないそうです

今後の研究にも期待したいですね

Applied Developmental Science Volume 18, Issue 1, 2014
Is Human-Animal Interaction (HAI) Linked to Positive Youth Development? Initial Answers


ある日の午後、止まない雨を見つめるふたり「雨やまないねー」「やまないねー」
田中正二厩舎にて

渡り鳥はどうしてV字を形成するのか
2014年01月20日 (月) | 編集 |

渡り鳥がV字を形成して飛ぶ理由

経験上、エネルギー節約のためだと考えられてきました

"経験上わかっている"ことでも、科学には理論や証明が必要ですよね

Nature(Volume505 Number7483)にこんな研究報告が載りました

「Precision formation flight astounds scientists~科学者を驚愕させる精密な編隊飛行」

私はこういう記事が大好きで、何度も動画と記事を見直しています

説明する獣医師の顔も生き生きしていると思いませんか(笑)



渡り鳥が編隊を形成するとき

先頭の鳥が羽ばたくことで空力が発生します

動的な流れは上向きだったり下向きだったり

これを利用し後続の鳥も羽ばたくというのです

シンクロさせたり、タイミングを逆にしたり…

空を飛ぶ渡り鳥を見るのが待ち遠しくなります

Come fly with me


Nature記事